前回の筆者のコラムでは、事業投資と内部監査の関わりについてご紹介させて頂きました。今回のコラムでは更にもう一歩踏み込み、「経営監査」について調査された日本内部監査協会の報告書(注1:「アメリカ大手企業における経営監査の実態」以下、報告書)をご紹介し、更に「経営監査」により事業投資のリターンの向上と大きな失敗・減損の防止を実現するための一つの方法論を提言させて頂きます。
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「経営監査」という言葉になじみが無い方も多いと思いますが、まず「経営監査」とは何か、報告書では次のようにまとめられています。『「経営レベルの監査テーマを選び、経営の実態をまとめ、経営の改善を提言し、CEOと定期的に意見交換する」、このプロセスを繰り返しながら経営の役に立つ、これが我々が目指すべき「経営監査」である』。 また「経営監査」なる言葉が作り出された経緯・背景としては、従来の業務プロセス主体の内部監査に対し、より高い視点での経営者トップの意思判断に資する内部監査の必要性提起を行ったもの、と解説されています。
それでは「経営監査」を行うとどのようなメリットがあるのでしょうか。「経営監査」により得られるメリットは、対象とする監査テーマにより大きく異なりますが、本コラムでは「事業投資の業務プロセスを内部監査する」ということを監査テーマに設定した場合を考えてみたいと思います。
上記のテーマにより内部監査をした場合に得られるメリットとしては、事業投資は企業の業績に大きな影響を与える業務であるので、その事業投資業務のプロセスを監査するのは、企業の業績向上に直接的に貢献し、事業投資のリターン向上や大きな失敗・減損防止に有効であると考えます。 前回の筆者のコラム(注2)では、事業投資業務の内部監査の対象化が組織体の目標達成・目標からの下方乖離の早期発見に有効であると提言致しました。
上記の「経営監査」を実現するには何が必要でしょうか? まず必要となるのは、「事業投資の業務プロセスが統一・共有・見える化」されることであると考えます。監査はやるべきことが適切に行われているかを見るのが基本であることを考えると、「事業投資の業務プロセスが統一・共有・見える化」されていない状況が、事業投資に関して、社内の一部の人間による不透明な評価や意思決定が行われてしまう原因の一つであると考えられます。
そのため事業価値の最大化のための議論が行われずに、事業投資が成功するための条件や前提も曖昧なまま事業投資が実行されてしまうのではないかと懸念しております。「事業投資の業務プロセスを統一・共有・見える化」することで始めて監査が可能となります。
「事業投資の業務プロセスを統一・共有・見える化」とは、具体的には事業投資の業務規程・業務手順書の策定などで実現できます。それにより監査に際して、事業投資業務でやるべきことが適切に行われているかを見ることが可能となり、組織体の目標達成・目標からの下方乖離の早期発見に繋がるのでないかと考えられます。
更には「事業投資の業務プロセスを統一・共有・見える化」することにより、社内の多くの部門(研究開発・営業・生産など)や専門家を巻き込み、事業価値最大化のために企業内の知恵やノウハウを集結し、企業の持つ人財による総合力が発揮されるのではないでしょうか。
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監査について学ぶうちに、監査とは、社内の一つ一つの業務を改善していく大変重要な役割を果たしていることを知りました。そのような中でインテグラートが貢献できるのは、事業投資の業務プロセス統一や事業投資計画書のフォーマット統一を簡易に行える事業投資評価・管理システムの導入や、事業性評価業務の標準業務手順書の作成、事業投資業務の簡易アセスメントのご提案が可能です。ご興味があれば弊社ホームページよりお問い合わせください。例えば、来月10月14日(金)には、「事業投資評価・管理業務 簡易アセスメント紹介セミナー」を開催いたします。 本コラムが「経営監査」による事業投資のリターン向上や大きな失敗・減損防止の一助となれば幸いです。
(春原 易典)
(注1)「アメリカ大手企業における経営監査の実態」
(日本内部監査協会 研究会No.13)2005/3/23
http://www.iiajapan.com/pdf/kenkyu/0130503.pdf
(注2)「事業投資と内部監査の関わりについて」
(インテグラート・インサイト・コラム vol.119)2016.3.24
http://www.integratto.co.jp/column/119/