MOTセミナー「ハイリスクR&D投資の意思決定力を高めよ」
◆日時
2013年2月19日(火)14:00~17:30( 受付13:30~ )
◆会場
東京大学伊藤国際学術研究センター 地上3階中教室
東京都文京区本郷7-3-1 (赤門近く、旧学士会館分館の所在地)
http://www.u-tokyo.ac.jp/ext01/iirc/access.html
◆参加費用:無料
御好評のうちに終了いたしました。
多くの御来場まことにありがとうございました。
日本の製造業の苦境を見事なまでに予見した小論「ハイリスクR&D投資の意思決定力を高めよ」(早稲田ビジネススクールレビュー第4号pp.72-77、2006年7月発行)(※)。液晶パネル業界における大敗北の可能性を指摘したこの小論は、日本の製造業各社の横並び投資とガンバリズム偏重に警鐘を鳴らし、ハイリスクR&D投資の意思決定プロセスの変革を呼び掛けるものであった。
しかし、小論発表から6年、日本の製造業におけるハイリスクR&D投資の意思決定力は果たして高まったのだろうか。先手必勝の独自の意思決定は、実践されているのだろうか。本セミナーは、小論の執筆者二名から、あらためて日本の製造業各社にハイリスクR&D投資意思決定プロセスの変革を提案するものである。
本セミナーにおいて、執筆者の一人、早稲田大学ビジネススクール山本尚利教授は「ハイリスクR&D投資失敗の本質」と題し、スタンフォード大学スピンオフ・シンクタンクのSRIインターナショナル東京オフィスにおける17 年のMOT (技術経営)コンサルティング経験から、日本の製造業のR&D投資における思考停止問題を指摘し、シナリオ発想と意思決定の重要性を訴える。続いて、もう一人の執筆者、インテグラート社長の小川からは「ハイリスクR&D投資におけるビジネスシミュレーションの活用」と題し、仮説指向計画法(Discovery-Driven Planning)と戦略意思決定手法(Strategic Decision Management)に基づき、ビジネスプランのロジックと確からしさを可視化し、複雑で不確実な状況下の意思決定を支援するシミュレーションシステムを紹介する(仮説指向計画法と、戦略意思決定手法については、下記囲みに概略を記載)。
※本小論のPDFファイルを、株式会社日経BP企画の許諾を受け、インテグラート株式会社ホームページhttp://www.integratto.co.jp/bi/publication/report/(リンク先の上から5番目の記事)にて公開中。
◆講演1 「ハイリスクR&D投資失敗の本質」
早稲田大学ビジネススクール教授(MOT担当)山本尚利 氏
IHI(石川島播磨重工業)にて、造船設計、新技術開発などを担当後、SRI インターナショナル東アジア本部にて、企業戦略、事業戦略、技術戦略などのコンサルティングを行う。2003 年早稲田大学大学院アジア太平洋研究科国際経営学専攻専任客員教授、2007年より現職。
東京大学工学部船舶工学科卒業、工学博士(技術経営戦略学、東京大学)
◆講演2 「ハイリスクR&D投資におけるビジネスシミュレーションの活用」
インテグラート株式会社 代表取締役社長 小川 康
東京海上火災勤務後、ペンシルバニア大学ウォートンスクール留学中にイアン・マクミラン教授のスナイダー起業研究センター(Wharton SBDC)に勤務。帰国後、ブーズ・アンド・カンパニーを経て現職。
東京大学工学部都市工学科卒、経営学修士(MBA、起業学及びファイナンス、ペンシルバニア大学ウォートンスクール)
◆講演3 インテグラートより、システムデモンストレーション、コンサルティング・研修プログラム紹介
◇インテグラートのビジネスシミュレーションシステムは、以下の理論を基礎として設計されています。
Discovery-Driven Planning(仮説指向計画法)
ペンシルバニア大学ウォートンスクール教授イアン・マクミラン、コロンビアビジネススクール教授 リタ・マグレイスが考案した不確実性の高い事業環境におけるビジネスプランニング手法。「逆損益計算法」により、利益の因数分解と仮説の洗い出しを行い、「マイルストン計画法」で仮説検証による学習とビジネスプランのフォローアップを支援する。インテグラートは、1997年に仮説指向計画法をシステム化。
Strategic Decision Management(戦略意思決定手法)
1960年代に米国スタンフォード大学教授の ロナルド・ハワードによって考案された、デシジョンアナリシスを基礎理論とする意思決定手法。シリコンバレーを本社とするコンサルティング会社ストラテジック・ディシジョンズ・グループ(SDG)が実践・応用し、手法として確立。意思決定の品質(Decision Quality)を高めるアプローチを提供し、エネルギー開発会社、製薬会社、化学メーカー等から導入が進展した。インテグラートは、2005年から2007年までSDGと提携し、日本における戦略意思決定手法の普及を促進。