初めまして、リード・アーニ(Reid Aune)と申します。まずは、短い自己紹介と私の関心領域である環境問題について取り組みが必要だと思う問題について少しお話したいと思っています。

 私の名前で私が日本人ではないとお気付きだと思いますが、私はカナダの西海岸にあるバンクーバー島(バンクーバー市ではなく)のナナイモという町の出身です。要するに田舎育ちです。大学のとき、カナダとしては都会のモントリオールにあるマギル大学で政治学と歴史を勉強しました。卒業後、来日し、教師、ローカライズ担当、翻訳・通訳者、ブライダル業界でマネージャーとして勤めました。その後念願だった専門学位を取るために、京都の同志社大学でMBA取得のため勉強しましました。卒業後、昨年9月にインテグラートに入社しました。昔から気になっていた環境問題について取り組みたいと思ったので、MBAのときマーケティングとファイナンス等の勉強をしながら、持続可能な経済についてよく勉強しました。

 現在の環境問題のソリューションは基本的に資源をできるだけ使わないことと産業効率を上げることです。ただし、効率が上がっても環境問題には直接的な影響がありますが、ポジティブな影響はほんの少ししかありません。しかし、環境問題に間接的な影響ですが、より大きいポジティブな影響を与えることがあり、それは会社の利益が上がることです。

 それはなぜか、ご説明します。

 現状では我々の経済は持続可能ではありません。なぜならば、自然資源の成長率よりも我々の資源消費の増加率の方が高いためです。再生不可能なエネルギーや材料の使用はもちろん、再生可能なエネルギーと材料も成長率より消費の増加率の方が高いのです。サービス業界でさえ、パソコンなり、家具なり、営業するための資源が必要です。付加価値製品かどうかに関わらず、経済の全ては材料の提供に基づいているので、使用過剰により自然資源がなくなって消費できる資源がなくなると、経済も崩れます。また、現代の産業プロセスでは色んな有害物質が使用されているのみならず、多くの商品自体に有害物質が含まれています。これらの問題もなんとかしなければ、自然資源を脅すことのみならず、人の健康に悪い影響を与える可能性もあります。

 従来、ソリューションの一つは自然資源とエネルギーの使用率を規制などで軽減することだと思われています。でも、このような規制を導入すると企業に負担になり、経済は混乱することもあります。また、少々軽減するだけで問題が解決される訳がなく、こちらの問題を解決するための循環型経済(サーキュラー・エコノミー)を立ち上げないといけません。循環型経済とは、簡単に言えば、産出の全てを継続的に同じ質がある材料として再度産出できるようにするか、捨てるなら自然にも人間にも害にならないことです。

 しかし、今の技術レベルで利益を出すためにはほとんどの資源をリサイクルできず、また有害物質を完成済みの商品から取り出すのは困難であることもあいまって、有害物質がそもそも商品に入っていないように設計するのには、多額の費用が必要です。それゆえ今の技術レベルでは、多くの会社は資源を持続的に使おうとすると、赤字になってしまうのです。

 企業は利益のために活動していて、利益が出ないとその活動は行いません。むしろ、上場企業であれば、株主の利益のために経営しているので、利益につながらないことを行ってはならない場合もあります。従って、資源のリサイクルをすると利益が出る、有害物質が商品に含まれていない設計ができると利益が出るというような新しい技術開発が必要です。

・新しい技術等を開発するのに研究する必要がある
・研究するのに人が働く必要がある
・人が働くのに給料を払う必要がある
・給料を払うのに利益(キャッシュフロー)あるいは資本を持つ必要がある
このように、循環型経済を作り出すためには利益が必要です。

 キャッシュフローが増えるほど、新しい商品の設計あるいは産業プロセスの開発研究をする人々を雇える。また、資本が増えるほど、新しい事業や、より大きな事業を始めるための資金が増える。利益が多いほど新しい技術と製品を発明することができます。むしろ、事業がうまく行くほどキャッシュフローや資本になり、持続的可能な経済を手に入れられるようになります。

 反対に、事業が失敗すると、出した資本金に対して利回りが悪く、戻ってこない可能性も十分にあります。キャッシュフローは減り、企業が赤字になることもあります。このような場合、給料を払えなくなり、新しい事業のための資本が減ってきます。

 それはやはり防ぎたい。リスクをゼロにすることはできないのですが、減らすことはできます。事業の仮説をきちんと管理することで、リスクを抑えることはできる。リスクを抑えると、事業の失敗率を下げられて、下げると企業の資本とキャッシュフローを保つことができます。また、ある事業が赤字になっている場合や、中長期的に利益が出る見込みがない場合、早く事業を中止することで、大きな失敗を防ぐとともに利益も上がります。

 上記のようなリスクを抑える戦略を取ると、自社の持続可能性にも取り組むだけでなく、循環型経済のような環境改善活動にもなります。持続可能な経済から、自社のより高い売上になる商品の発明まで、これを実現する過程でのモチベーションにも関わらず、利益を保つことは非常に重要です。利益が高くなるほど新しい発明が生まれ、世界はよりよくなります。

 従って、会社として社会にも環境にも有利になる活動とは、できるだけ利益を上げるために、それに集中することであり、また社員として仕事をきっちり行うことです。仕事をする際は、会社の損益と会社の持続可能性に貢献しているだけでなく、環境と経済の持続可能性の貢献につながっていることを忘れないでください。

(リード・アーニ)