2025年8月にインテグラートに入社いたしました折茂昭博と申します。これまでは、ベンチャーキャピタル等での投資関連業務や、製薬及び医療機器メーカーで財務・経営企画やM&A関連業務等に携わってきましたが、インテグラートが仮説の検討を重視した事業性評価を通じて新規事業開発を支援していることを知り、入社いたしました。これまでの経験を生かし、お客様に貢献できるよう努力して参りますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
新規事業開発やその事業性評価を行う皆様の中には、事業の仮説立案やその評価方法について関心がある方も少なくないと思いますので、今回のコラムでは、仮説を作成し評価する際に参考になる視点が説明されている「仮説行動」(注1)という書籍の概略をご紹介させていただきます。
本書では、不確実性が高く変化の激しい事業環境で成果と学習を同時に最大化することを目的とした仮説ベースの思考・意思決定・行動の方法論が示されており、中心となるプロセスは、(1)マップ(仮説マップ作成)→(2)ループ(仮説生成〜検証〜学び〜修正/棄却の高速反復)→(3)リープ(意思決定と実行)の3ステップで構成されています。
(1)マップは、仮説の全体像と仮説の関係性を俯瞰するステップです。仮説マップの作成により、「今の前提は何か」「どこが成果に強く影響するのか」「検証すべき弱いポイントはどこか」のガイドが得られるとしています。仮説マップの種類として、本書ではいくつかの例が説明されていますが、その一つとして、Amazonが製品を作る前に「プレスリリース」を作成することが紹介されています。これにより、顧客の視点からものを見つつ、開発前に考慮すべきことを整理することができると考えられています。
(2)ループは、仮説を生成し、個別の弱い仮説や解像度の低い部分を検証し強化していくステップになります。仮説は、エビデンス(根拠)と推論の2つの要素で構成され、優れた仮説を作りだすには、インタビューや観察などの行動によって、独自性のあるエビデンスを作り出すことが必要になります。また、仮説・検証のループを繰り返すことで、仮説が小さくまとまってしまうことがあるため、理想的なあるべき姿を意識することが影響度の大きな仮説を作るために重要とされています。すぐに理想が思い浮かばない場合には、ウィッシュリスト(願いややりたいことなどを思いつくままに書き出したリスト)を作成すると思考の幅を広げることができると推奨されています。
(3)リープについては、意思決定と実行のステップになります。仮説は100%確実な正解にはならないため、確信度80%で採用できる仮説があれば、それは良い仮説と見なし、決断し実行すべきとしています。また、短期的な仮説の正誤よりも、長期的な仮説の正誤が重要であり、方向性や根本的な仮説が間違っていないと思うのであれば、先に進んでみることが推奨されています。さらに、決断のときに問われるのは、自分たちがどうしたいのか、何のためにこの会社や事業はあるのかといった意思であり、意思がないと決断ができないと述べられています。
以上が、書籍の概略になります。短期的な仮説については詳細まで検討されていても、長期的なゴールやそこに至るロジックがあいまいになっているケースが少なくないと思います。より良い仮説を作るために何をしたら良いか悩んでいる方は、まずは、長期的なゴールとそれに至る道筋を見直してみてはいかがでしょうか。
このコラムが皆さまの事業の更なる発展のヒントになりましたら幸いに存じます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
(注1)馬田隆明著「仮説行動」・英治出版・2024年
(折茂 昭博)