インテグラートはドイツのコンサルティング会社カテニオン(Catenion GmbH)と提携を開始しました。提携の目的は二つあり、インテグラートのビジネスシミュレーションシステムをEUで展開することと、カテニオンのコンサルティング事業の日本での展開を支援することです。

カテニオンは、2004年創業の、医薬品・医療機器分野に特化した戦略コンサルティング会社です。コンサルタントは約20人で、EUを中心に、日本・アメリカでもコンサルティング活動を行っています。コンサルタントの多くは医薬品業界と戦略コンサルティングの両方の経験を持ち、また、PhDを持つコンサルタントも珍しくない専門家集団です。

このようなメンバーが揃っているカテニオンの最大の特徴は、顧客企業の研究者・技術者と対等に議論し、提案ができることです。これはどういうことなのか、医薬品開発を例にご説明しましょう。

医薬品開発では、化合物と呼ばれる候補物質が見つかると、どのような薬として作り上げるのが良いのか、製品の設計を慎重に検討します。その際、医薬品には重要な検討要素が3つあります。効き目(有効性)、副作用(安全性)、採算(事業性)の3つです。特に有効性と安全性に関しては、医薬のサイエンスに関する極めて高度な知識と経験が必要となる、製薬会社の中核業務であり、なかなか外部のコンサルタントが支援しにくいところです。

このような難しい業務に関して、カテニオンが卓越したコンサルティングを提供できる最大の理由は、場数をこなしてきていることです。関与の深さ浅さはあると思いますが、既に1,000件以上の医薬品開発プロジェクト評価の実績があります。これは日本の大手製薬会社にとって、件数で数十年分以上の経験に相当します。化合物については、その化合物を発見した製薬会社以上の知識がなくても、医薬品を認可する規制当局の方針と医薬品価格等のグローバルな市場動向に詳しいことが大きな武器になっています。更に、開発段階の製品がどの程度のリスクを抱えているか、膨大な数の質問によって評価するシステム(R&D Risk Assessment Tool)を開発し、適切な開発遂行を支援しています。このような強みを生かし、カテニオンは、どのような薬を設計する選択肢があるか顧客企業に提案します。本格的開発に入る前の段階で、可能な選択肢を提案することは、後戻りが難しい医薬品開発プロジェクトにおいて、実に価値が高いことだと思います。

カテニオンが興味を持っているのは、インテグラートが開発・販売している事業性評価システムRadMapです。カテニオンのコンサルティングは、基本的には案件単位で完結します。そのため、顧客企業側での、事業性評価業務の継続的なプロセス構築・改善や、データベース化を支援するシステムをカテニオンは持っていません。ここで役に立つのがRadMapシステムです。カテニオンとの提携では、まず、カテニオンのコンサルティングの結果を、EU・アメリカの顧客企業がRadMapで管理する仕組みを構築します。その顧客企業でRadMapシステムが継続的に運用されるようになると、以前行った事業性評価の次の段階の評価や、事業性評価業務のレベルアップなど、カテニオンは顧客企業に新たにコンサルティングを提供する機会を見出すようになります。つまり、RadMapシステムが、カテニオンと顧客との長期的な関係構築を支援する仕組みです。

インテグラートは、カテニオンの取り組みに対して、システムの提供と運用定着の支援を行います。一昨年の9月に初めてアメリカでカテニオンのコンサルタントに会ってから、日本で数回、昨年5月にはベルリンで両社の会議を行い、その後両社協力して日本でコンサルティングを実施するなど、着々と信頼関係を深めてきました。既にRadMapシステムはマニュアルも含めて英語化されていますので、EU・アメリカで最初のユーザー企業を見つけることが次の重要なステップです。もちろん、ここが最も重要なステップであることを両社理解しており、具体的な仕掛けを準備しています。

また、カテニオンの日本での展開を支援する具体的取り組みについても、両社で議論を進めています。このコラムを読んで、カテニオンに関心を持った方は、是非インテグラートまでご連絡ください。英語だけでは不安、という場合には、インテグラートでサポートいたします。

カテニオンとの提携を成功させ、世界一のビジネスシミュレーション企業になる、というインテグラートのビジョンを一歩一歩実現していきたいと思います。皆様の応援を何卒よろしくお願い申し上げます。

(小川 康)