インテグラートでは、情報収集やスキル研鑽の目的で、年に1回~2回、メンバーが海外のカンファレンス・セミナーに参加しています。今回のコラムでは、9月下旬にアメリカ フィラデルフィアで開催された製薬業のポートフォリオマネジメントに関するセミナー「5th Pharma/Biotech Summit on Portfolio Evaluation & Strategic Investment Decision Making」の参加報告をお届けいたします。

今回のセミナーでは、2日間の会期中に13のプレゼンテーションとパネルディスカッションが行われました。プレゼンターも含め、約110名の参加者があり、これまでインテグラートが出席した海外のセミナーの中でも、比較的規模の大きなセミナーでした。プレゼンターは、現役の製薬品メーカー・バイオテック企業の担当者と専門コンサルタントが半々、一方、オーディエンスは製薬品メーカー・バイオテック企業の担当者が約3分の2ほどでした。

今回のセミナーで最も強く印象に残ったのは、欧米の製薬業での「ポートフォリオ」のスコープが従来よりも拡大している点でした。欧米の製薬企業では、1980年代より「ポートフォリオマネジメント」が行われるようになり、莫大な研究開発費を各研究テーマ(プロジェクト)に如何に配分するかがその焦点でした。しかしながら、現在、欧米の製薬業が捉えようとしているポートフォリオは、その対象範囲が広がっており、自社の研究開発プロジェクトへの資源配分にとどまらず、ライセンス機会の検討、およびマーケティングやセールス費用の配分にまで、ポートフォリオマネジメントのスコープが広がっています。この傾向は、セミナーで実施されたプレゼンテーションのテーマにも顕著に現れており、13のプレゼンテーションの内、7つのテーマがライセンシングに関するもの、3つがマーケティングや販売戦略に関するものでした。

インテグラートが東京大学薬学系研究科と共に行っている「オープン・ポートフォリオ」に関する研究も、まさにポートフォリオの対象を自社開発プロジェクトだけに留めず、自社の戦略に合わせたより積極的なライセンス活動のためにポートフォリオマネジメントを利用しようとする試みであり、今回のセミナーで感じたトレンドとの方向性の一致を感じます。視点を少しずらすと「オープン・ポートフォリオ」、すなわち「ポートフォリオのオープン化」は、製薬業だけではなく、事業の売却・買収を行う企業が既に実践している発想ではないでしょうか?資源配分だけでなく、より戦略的な視点に立った「ポートフォリオマネジメント」が求められるようになったことを、今回のセミナーで強く感じました。

余談ですが、セミナーで名刺交換をしたプレゼンターや参加者の名刺を見ると、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ社の「Strategic Planning & Decision Analysis」、ワイス社の「Portfolio Management, Strategic Planning」、ファイザー社の「Worldwide Portfolio Management」など、戦略計画の立案やポートフォリオマネジメントのための専門部門があることが伺えます。今後、日本でも、「ポートフォリオ管理部」や「戦略企画部」、「意思決定支援部」というような名前が部門の名前として使われるようになるやもしれませんね。

(宮本 明美)