今回のコラムは、身近な例を取り上げながら、「コミュニケーションと意思決定」の関連について考えてみたいと思います。
今年もはや年末となり、ボーナスをもらった方、あるいはもらう予定の方も多く、使い道を検討されている方も多いかと思います。このような、個人や夫婦間でのお金の使い道を決める場合、まずは(1)使い道の候補を挙げ、(2)何を基準に使い道を決めるかを話し合いながら優先順位を考え、(3)使う金額の上限をにらみながら優先順位の高いもの(家や車のローン、加えて、前々から決めていた薄型テレビやHDDレコーダのような大型家電製品といったところでしょうか)から使い道を決めるのではないでしょうか。

この「家庭でボーナスの使い道を決める」という『意思決定』を行うにあたっては、ごく自然に話し合いという形でコミュニケーションが図られているかと思います。どんなに亭主関白やかかあ天下の家庭でも、ボーナスのような大きなお金の使い道を決めるのに、何のコミュニケーションもなく決めることは少ないのではないでしょうか。

家庭における意思決定においては、意思決定に関わる人数が少なく、多くの場合、相互に嗜好や価値観を理解・共有しているので判断基準のすりあわせがしやすく、円滑にコミュニケーションが図られると思われます(まれに大喧嘩になることも?)。ところが、これが会社のような大組織になると事情が変わってきます。

インテグラートのお客様では、会社組織内でのコミュニケーションの手段やツールとして、私どもの製品やサービスをご利用になっているケースが多くあります。あるお客様では、投資の意思決定について、トップとのコミュニケーションを図るのに大変ご苦労をされておられました。トップからは、複数の投資条件下での事業価値評価情報をスピーディーに、かつ正確に出すことを求められている一方で、現場のご担当者は、そのような情報を収集・加工・提示するのに、大変な手間と時間をかけていました。より効率的に、又よりわかりやすくトップとのコミュニケーションを図るために、だれが、いつ、どのようなコミュニケーションをとるかを具体的に想定しながら、私どもの製品をカスタマイズして専用ツールを開発し、ご利用いただいております。

また、別のお客様では、開発案件の情報が各部門内に閉じてしか利用されていませんでしたが、事業価値の評価を実施することをきっかけに、私どもの製品を導入し、部門間のコミュニケーションが図られるようになりました。少しずつコミュニケーションの範囲を広げながら、相互理解を深めていくための努力を続けておられます。

家庭におけるそれとは逆に、ある事柄に関する意思決定に関わる人数が多く、かつ嗜好や価値観が多様に存在し、それを相互に理解・共有することが十分でないとき、まずは「理解・共有」することを目指してコミュニケーションを図ることがとても大切です。これは、会社組織における意思決定においても必要なステップではないでしょうか?今までのやり方ではコミュニケーションを活性化できない場合には、そのきっかけ・装置として私どもの製品やサービスを利用いただけると最近強く感じています。

お客様の問題点を解決していく中で、考えたことや気がついたことを活かしながら、私どもは来年もより良い製品・サービスを創出し、よりよいコミュニケーションとその結果としての意思決定をお手伝いできればと思います。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

(井上 淳)