インテグラート社長の小川です。弊社は、今月の16日に企業理念(https://www.integratto.co.jp/company/mission/)を発表しました。企業理念の策定は、企業の歴史の節目となることだと考えますので、今月のコラムの場を借りて、企業理念策定までの長い歩みをご紹介いたします。皆様の業務に直接お役に立つ内容ではないかもしれませんが、弊社の自己紹介としてお読みいただけますと幸いです。

弊社は1993年1月に北原康富氏が創業しました。2006年5月までは、事業性評価・ビジネスシミュレーションソフトを中心とした現在に至る部門と、日々のスケジュール管理や営業活動を支援するグループウエア部門の、2つの部門を持っていました。

2006年5月にこの2つの部門をそれぞれに分社し、グループウエア部門は、同時にグループウエア大手のサイボウズ(東証一部)のグループ会社となりました。現在その部門はサイボウズ総合研究所株式会社(http://cybozu-ri.co.jp/)としてクラウドビジネスを展開しています。インテグラートは、事業性評価・ビジネスシミュレーションに特化した企業として、新たなスタートを切りました。新社長に宮本明美氏が就任して新会社を軌道に乗せた後、2008年1月に小川が社長に就任しました。

そして、更に大きな転機が訪れました。2009年秋から2010年7月にかけて、17年間弊社を牽引した創業者北原氏から小川への事業承継、北原氏の取締役退任と顧問就任、役員新体制の発足、と段階的に大きな変化を遂げました。この経営面の変化を社業の発展に結びつけるために、考えなければならない課題が山のように多く思い浮かびました。

多くの経営課題の中でまず取り組みを始めたのが、企業理念の策定です。新たなスタートを切った会社として、今後の事業活動を根底から支える、使命と行動指針の定義が不可欠だと考えました。また、会社が永く成長を続けるためには、私だけが企業理念を考えて単なるお題目にするのではなく、メンバーが理念を共有することが大切だと考え、理念に至るまでの私の経験と考えを詳しく説明することにしました。メンバーには、次のような話をしました。

私はインテグラートに来る前は、東京海上火災保険(現 東京海上日動火災)に勤務していました。東京海上は様々な面で素晴らしい会社だったのですが、東京海上の外が同じように恵まれた環境であるはずはなく、世の中には他にやるべきことがあるはずだ、と次第に考えるようになりました。なすべきことは何なのか、ひたすら考えた末、技術系のベンチャー企業の経営者になる決意を固めました。新たな製品・サービスが実現していくことが社会の発展を支える、しかし、技術系のベンチャー企業は、新たな製品・サービスを開発する技術を持っていても、実現するための経営の力が必要なはずだと考えたのです。ソニーやホンダといった企業の歴史からも、経営の力が重要であることを学びました。ベンチャー企業に挑戦する人材が不足していることも、日本にとって大きな問題だと考えました。そして、1998年5月に東京海上を退職し、インテグラートでインターン(アルバイト)として働き始めました。ベンチャーの仕事をするからには、本場のアメリカに行かなければならないと決めていましたので、インテグラートでインターンをしながらアメリカへ行く準備を進め、1年後の1999年の7月に渡米しました。アメリカではベンチャー企業の経営とファイナンス一般に関するMBAを取得し、更にベンチャー支援センターで2年間、アメリカのベンチャー企業に対するコンサルティングを経験しました。その後、外資系コンサルティング会社に勤務した後、インテグラートに復帰し現在に至ります。

インターン時代から現在に至るまでのインテグラートにおける私の活動を支えているのは、新しい製品・サービスの実現が社会の発展を支える、という信念です。例えば、新たな医薬品が実現し多くの方が健康を手に入れ、新たなインターネットサービスが実現し日常を楽しくする、といったことが社会を発展させていくのだと思います。新たな製品・サービスを企画するビジネスプランの精度を高め、確からしさを示すビジネスシミュレーションを提供することは、社会発展の一端を担うことであり時代の要請である、このような話を、メンバーに繰り返し話し、約半年の議論を経て、企業理念をまとめ上げてきました。

企業理念を策定するということは、未来を考えながら会社の自己紹介を作ることのようでした。これから、理念を実現していくことこそが重要であり、気を引き締めて努力を続けてまいります。今までインテグラートを応援して下さった皆様にあらためてお礼を申し上げますとともに、今後ともご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

(小川 康)