7月よりインテグラートに入社いたしました。57歳の新人、名田秀彦と申します。35年間社内SEとして大手家電メーカーで8兆円規模のITプロジェクトや200名以上のコンサルタント人材開発を行ってまいりました。
このたび、インテグラート社の「未来社会への価値創造」というビジョンに感銘を受け神戸大学MBA時代を通じての小川社長とのご縁もあり、ご一緒させていただくことになりました。
前職での、インターネット黎明期における5年半の米国での出向勤務経験や、20か国以上におよぶグローバルITプロジェクトマネジメント経験を生かしてインテグラート社を通じてお客様企業に貢献できるよう精進いたしますので今後とも、宜しくお願い申し上げます。
さて、日頃、皆様の事業投資評価業務と深い関係のある「リスクを伴う意思決定」ということに関しまして、個人的に大変興味を持っている理論として、行動経済学における意思決定モデルとして知られる「プロスペクト理論」があります。
簡単に言えば;
リスクを伴う決定を行う際に、人は自分にとって
1)プラス・得する話の際には、「堅実派」(もらえるものは確実にもらう)
2)逆に、マイナス・損する話の際は、「冒険派」(どうせダメモトならば勝負する)
を選択する傾向がある、というものです。
例を示します;
例1)得する話
オプションA 4万円を確実にもらえる
オプションB 10万円を50%の確率でもらえるが、残り50%は何ももらえない
例2)損する話
オプションC 4万円を確実に支払う
オプションD 10万円を50%の確率で支払うが、残り50%は支払免除
それぞれの、例で、あなたはどのオプションを選びますか?
期待値計算では、
例1)では オプションA 4万円獲得 < オプションB 5万円獲得
例2)では オプションC 4万円支払い > オプションD 5万円支払い
となりますが、実際には、例1)ではオプションAが好まれ、例2)ではオプションDが好まれると言われています。
このように、人間のリスクに対する受容性には「くせ」「傾向」がある訳です。
この傾向は、個人、組織の大小を問わず傾向として現れるといわれます。興味深い研究として、先の大戦における旧日本軍の戦艦大和の出撃経緯など、日本軍の意思決定の不可解さを解明している、菊澤研宗氏の「組織の不条理」や「失敗の本質」などは大変興味深い示唆に富んでいます。
人間は誰しも完璧ではありえません。意思決定者とて同様です。
特に、全体主義、集権主義、勝利主義などの「錯覚」を盲信させてしまうリスクを持っています。
そのような組織のもつ意思決定リスクを正しく導くためには批判的合理的構造を持った「開かれた組織」として絶えず、誤り・思い込みを排除し、自由な議論を許容する環境や仕組みを作り上げて行く必要があると思っています。
そのような仕組みづくりを実現するためにインテグラートはお客様へのお役立ちを図る企業であり、
小川社長のキークエスチョン
「我々は何に賭けているのか?その仮説はまだ生きているのか?」
という問いを投げかけ続ける勇気、知見、行動を持ちつづける必要があると思います。
インテグラートはそのような理想に向かって、お客様とともに歩み続けて行ける会社である、と信じています。
(名田 秀彦)