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 サウジアラビアと聞いて、どのようなイメージをお持ちでしょうか。友人に「サウジアラビアに行くの?危ないんじゃない?」と心配されました。

 リアルに物を見ることの大切さに気づいた話をしたいと思います。さて、本日はサウジアラビアについて、少しお話をしたいと思います。

「日本が利用している石油の大産油国」
「イスラム教の国」
「砂漠の国」
「最近まで女性は自動車運転が禁止されていた国らしい」
「観光ビザを取るのが大変そう」
といったイメージが、一般的に定着しているのではないでしょうか。

 もちろん、これらのイメージは、決して間違ってはいません。 サウジアラビアは、世界最大の原油輸出国であり、イスラム教を国教とする国家です。また、国土の大部分が砂漠地帯であり、2019年までは女性の自動車運転が禁止されていたことも事実です。

 色々な人が心配してくれるので、気合を入れて準備を始めることになったサウジアラビア旅行ですが、観光ビザを取り始めたときから拍子抜けの連続です。
VISA取得はなんと10分程度のフォーム入力で完了でした。
なんと日本パスポートは空港到着でのビザ申請でもなんとかなるらしいのです。 VISA取得が大変らしいぞ、という噂との違いに少しドキドキしながら飛行機に乗りましたが、実にスムーズに到着しました。

 「危なそうだけど大丈夫?」と心配されて見送られてきたサウジアラビアですが、始終かなり安全でした。日本人顔はとっても珍しいらしく誰にも観光客とわかるようでしたが、特に何か不都合なことはありません。逆にカフェでごちそうになることなど多々あるくらいでした。 カフェに入れば、席に携帯を置いていく人も少なくありません。海外に行くことのある方ならこれはだいぶ安全な方だと伝わるのではないでしょうか。

 町中の決済手段もどうでしょう?中国でQR決済が多いのは有名かと思いますが、サウジアラビアはMada Payという決済手段が流行っていて、町中はタッチ決済でした。 日本で例えるとSuicaが全国的にどこでも使えるようなイメージです。 タッチ決済が使えないところは、田舎も含め私が通ったエリアでは見つからない程でした。浸透率もかなり高く、おそらく私のような観光客以外は現金で支払う人はいません。

 近年のサウジアラビアは、「サウジ・ビジョン2030」といって石油依存からの脱却と、多様化した経済の実現を目指す国家戦略を掲げ急激に変化を遂げています。 2019年に国をオープンにすることを決定したものですが、町中を見るとその目標達成のために非常に多くの発展を見ることができます。 バスは最近開業し、メトロもちょうど開業直前といった具合でした。

 自動車免許発行が男性に限られているという話を大学時代に聞いた話で驚きましたがそれも過去の話、女性の自動車運転も、2019年に解禁されました。

 これらは、日本に住んでいる私からすると想像できないスピードで進んでいるように感じます。日本でサウジアラビアの情報を見聞きすると、その変化をなかなか実感することができません。 なぜなら、インターネットの情報は、過去の情報や、一部の視点からの情報が多いからです。そのため、サウジアラビアについて、誤ったイメージを抱いてしまうこともあるかもしれません。

 おそらく、私の友人は「あまり良く知らなくて怖い感じがするから」と心配してくれたのだと思います。しかし、実際に行ってみると、私が現地で気をつけていたのは、車道を駆け抜けていく車が早いので、気をつけて歩くぐらいのことでした。

 海外市場の情報を収集する際には、インターネットや専門家の情報も参考にしながら、自らの目で現地の状況を確認することも大切です。
安く早く情報の取得できるインターネットの力は素晴らしいものです。しかし、インターネットで見つかるものは、誰かが記載し、公開したもののみであること、おそらく手に届いている情報は、その一部であることを忘れてはいけません。

(渡邉 修)